
骨密度
骨の強さを判定するための指標を「骨密度」と言いますが、
この骨密度は小児期から思春期にかけて急激に増加します。
5歳時を100%とすると、18歳時には195%と、約2倍に増加します。
この時期に十分骨密度を増加させないと、
その人の最大骨量(ピ-ク骨量)は低いものになります。
一方20~40歳になっても適度の運動、十分なカルシウムの摂取などで
骨密度の維持や増加が期待できますが、増加率は2~3%程度です。
20歳までにいかに骨密度を増やすかが重要になります。
私たちの体は、成人の場合206本の骨で支えられています。
骨は、私たちの体を支えるだけでなく、
大切な臓器を外部の衝撃から守る役割を担っています。
特に脳や心臓、肺など生命を維持する臓器は骨に囲まれ守られています。
「骨」というと堅くて丈夫というイメージがありますが、
いったい骨はどのくらい丈夫なんでしょうか?
あくまでそっと負荷をかけた場合ですがある実験では正常な椎体は600kg、
骨粗しょう症の椎体は200kg位の荷重まで耐えることができることが
分かりました。
正常な状態と骨粗しょう症の場合では約3倍もの差があります。
健康な骨になるために必要な栄養素の代表は、何といってもカルシウムです。
カルシウム摂取量が不足気味な日本人。
吸収を高める栄養素と合わせて一緒に取ることで、
骨を喜ばせながら丈夫な骨で健康寿命も延ばしましょう。
骨には体内のカルシウムの99%が蓄えられています。
体内のカルシウムが不足すると、“カルシウムの貯蔵庫”である骨から
補充されます。
骨は生涯を通じて破壊と形成をくり返しており、絶えず生まれ変わっています。ホルモンの変化や運動、食事からの摂取不足などによって、
骨の破壊と形成のバランスが崩れると、骨量の減少が起こります。
小さなうちから骨量をできるだけ高め、また骨量の減少を抑えることが、
将来骨粗鬆症などのリスクを減らすのに役立ちます。
骨や歯の主な成分なので、欠かさず取る必要があります。
他にも筋肉の収縮を助ける、血液の凝固作用を促す、精神を安定させるなど、
生命維持にも大切な働きがあるミネラルのひとつで、
血液成分として常に一定の量になるよう、体内で調節されています。
毎日の汗や尿中排出量が多い時期に摂取量が少ないと、
恒常性維持機能の働きで骨を溶かして血液に供給されるため、
結果骨がスカスカ弱くなり、骨粗鬆症に繋がります。
摂取されたカルシウムは平均30%程度しか吸収されず、
残りの70%前後は吸収されないといわれています。
摂取したカルシウムを効率よく吸収させ骨への利用、
つまり骨の破壊と形成のバランスがうまくとられることが
骨の健康にとって重要なのです。
予防も兼ねて、食事から1日800mg以上は取ると良いです。
ビタミンDは体内で変化 ( 活性化 ) し、腸からのカルシウム吸収を促進、
血液に入ったカルシウムを骨まで運ぶ働きがあります。
また、骨をつくる骨芽細胞の働きを促進し、骨の形成を助ける栄養素です。
例えば魚類やしいたけなどがオススメです。
ビタミンKは骨にカルシウムを沈着させるために必要な、
オステオカルシン(たんぱく質の一種)を活性化したり、
カルシウムが尿中に排泄されるのを抑え骨の破壊を防ぎます。
また怪我による出血、炎症による内出血時に血液を固める作用は
よく知られます。
例えばブロッコリーやひじき、ほうれん草などがオススメです。
マグネシウムは骨をつくる成分であると同時に、様々な酵素の働きを助けます。
骨を形成する骨芽細胞に働きかけ骨の中に入るカルシウム量を調節するため、
不足するとカルシウムが骨形成に役立ちません。
骨密度増加や骨折予防の効果が大きく、カルシウムと合わせて
バランス良く(カルシウム2対マグネシウム 1 の割合)取る必要があります。
例えばアーモンドやさつまいもなどがオススメです。
体の主な構成成分で、生命に直接関わる重要な栄養素です。
たんぱく質は約2 0 種類のアミノ酸が結合して出来ていますが、
骨に存在するコラーゲンもこの一種で、
カルシウムを骨に吸着させる働きで強い骨をつくります。
コラーゲンのみ大量に取っても増えません。
体内の代謝は複雑です。
良質なたんぱく質を複数から取りましょう。
例えばたまごや豆腐、乳製品などがオススメです。
イソフラボンは女性ホルモンのひとつであるエストロゲンに似た働きを
することで、大変注目される栄養素です。
エストロゲンは骨からカルシウムが溶け出すことを抑える働きがありますが、
閉経後や生理不順な女性では、エストロゲンが激減する事が多いです。
イソフラボンでエストロゲンの働きを補い骨のカルシウム破壊を防ぎましょう。
例えば納豆や大豆などがオススメです。
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、紫外線を浴びることで
体内でもつくられます。
夏の直射日光を長時間浴びることは、皮膚が赤くなるなどダメージに
つながりますが、適度な日光浴は骨の健康に役立ちます。
冬であれば30分~1時間程度散歩に出かけたり、
夏であれば暑さを避けて木陰で30分程度過ごすだけで十分です。
屋内で過ごす時間が長い高齢者や、美容のために過度な紫外線対策を
行っている人では、ビタミンD不足が心配されます。
運動をかねて積極的に外出する機会をつくって、
上手に紫外線と付き合っていきましょう。
・1日3食!欠かさずにとる
必要な栄養素の補給と代謝バランスを保つためにストレスの多い現代人には、
1日3食が必要です。
朝食抜きや欠食は栄養の偏り、カルシウム等のミネラルやビタミン不足に
陥り易くなります。
・外食は単品を避け、定食メニューを選びましょう
一般に食品数が少ない食事は栄養素も偏ります。
定食メニュー等、使用食品の多い食事を選びましょう。
単品メニューには野菜の入った小鉢を補えると、栄養バランスも改善します。
・ お惣菜の有効利用
最近手頃なお惣菜が種類豊富に購入できます。
忙しい時はインスタントにするのではなく、
お惣菜にしてみるといいかもしれません。
京都おばん菜の定番、切干大根やひじきの煮付け、五目豆や白和えを選ぶと、
カルシウムも豊富です。
お昼ごはんに一品プラスしてみては如何ですか?
デザートを食べるなら、ヨーグルトやチーズケーキ等乳製品でカルシウムも
アップです。
食事にプラスすると更に効果アップなのはやはり運動です。
運動療法の目的は第一に骨に負荷をかけて丈夫な骨を作ることにありますが、
それに加えて転倒による骨折を防止することも大切です。
筋力をつけ、バランス感覚を高めることも運動療法の目的のひとつです。
有酸素運動やウォーキング、筋力トレーニングは腰椎および大腿骨近位部の
骨密度を高める効果があることが報告されています。
また、太極拳やヨガも有用であるとされます。
転倒・骨折予防の観点からは片足立ちなどのバランス訓練、
そして筋力トレーニングも有用であると報告されています。
特に背筋強化は椎体骨折の防止効果が期待できます。
運動の有効性を示すさまざまな報告がありますが、
骨粗しょう症の患者さんに対する運動指導では、年齢や活動性の個人差、
転倒リスクと骨粗しょう症の重症度などを考慮して行なうことが大切です。
