
良い油を摂る
体の60~80%は、水でできているという話は聞いたことが
ある方が多いと思います。
では、私たちの体はどうやってその水を保持しているのでしょう?
実は、「油」です。
私たちの体は約60兆個の細胞からできています。
細胞は、「細胞膜」という膜でできた水風船のようなもので、
この水風船の風船の部分が、油でできています。
そのため、悪い油を摂取すれば体が悪い油で作られてしまいます。
良い油を摂れば、体が健康に保たれます。
油(脂肪)といえば、「摂り過ぎると太りそう」「体に悪そう」
というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
確かに摂り過ぎれば肥満を招き、生活習慣病の原因にもなりますが、
油を控え過ぎると免疫力が低下したり、肌が乾燥しやすくなったりと
いった悪影響もあります。
健康や美容のためには、油も適度に摂取する必要があります。
悪い油を上手に避け、良い油を摂るように心がけましょう。
人間が生きていくために欠かせない3大栄養素は、
炭水化物、タンパク質、そして油(脂肪)です。
この3つの中でも、油のカロリーは最も高いため、
日々の食事では健康のために油の摂り過ぎに注意している人も
多いかもしれません。
油の摂り過ぎは肥満などの原因になりますが、
一方で人間が活動するためのエネルギー源として欠かすことはできません。
たとえば人間の脳の60%は脂肪でできているといわれていますし、
細胞膜やホルモン、胆汁を作る材料になったり、
皮膚に潤いを与えるのも油の役割。
油は人間が生きていくためには必要不可欠で、
重要な働きをしている栄養素なのです。
油の主な成分は脂肪酸です。
油にはバターやゴマ油、牛脂など様々な種類がありますが、
その成分はいずれも脂肪酸。
脂肪酸は、炭素と水素と酸素の3種類の原子で構成され、
その構造によって分類され、その働きも異なります。
脂肪酸は分類方法によって、
「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の大きく2つに分けられます。
この2つの違いはなんでしょうか。
飽和脂肪酸は一般的に肉や乳製品に多く含まれる酸化しにくい油で、
体にとって重要なエネルギー源です。
不足すると血管がもろくなり、脳出血を起こすリスクがある一方、
摂り過ぎるとLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を増やし
心疾患のリスクが高まります。
また、心筋梗塞や、肥満、糖尿病を招く危険性があります。
不飽和脂肪酸はエネルギー源でもあり、体の各種細胞膜の重要な構成成分です。
大きく一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)、
多価不飽和脂肪酸(オメガ6系、オメガ3系)と分けることができ、
その種類によって様々な働きがあります。
一般的に飽和脂肪酸に比べ酸化しやすく、
特に多価不飽和脂肪酸は加熱調理には向いていません。
私たちを老化させる油があることをご存知ですか?
その正体は「加工油」です。
加工油とは自然界には存在しない、人工的に作られた油を指します。
20世紀の初めに科学的に発明された加工油の多くには
トランス脂肪酸がたくさん含まれています。
このトランス脂肪酸とは「プーファ」のことで、
プーファが人間の身体でエネルギーとして使われると、
体内にアルデヒド(過酸化脂質)という発がん性のある物質が発生します。
そしてこれら老化させる油の代表的なものが、
マーガリンやショートニング、精製されたラードです。
バターより手頃な価格のマーガリンは家庭でお使いの方も多いかもしれません。トランス脂肪酸は「食べるプラスチック」とも呼ばれる、危険な油です。
肥満だけでなく悪玉コレステロールの増加、
善玉コレステロールの減少を引き起こします。
また、細胞膜の働きを阻害して糖尿病を引き起こします。
こういった油は安価であるだけでなく保存性に優れています。
常温で保存しても腐らないので、飲食店では多く使用されています。
でもよく考えてみれば食品なのに腐らないということは、
腐らせないための添加物がふんだんに入っているということです。
トランス脂肪酸は液体油に水素を添加して人工的に固形にしたもので、
コストダウンを図って開発されました。
人体にとっては不自然なので、体内に入るときちんと消化しきれません。
消化しきれなかったものは毒素として体内に蓄積されます。
溜まった毒素はやがてシワやたるみ、果てはガンの原因となりえます。
トランス脂肪酸はまた、悪玉コレステロールを増やすので肥満も招きます。
さらに女性の子宮内膜症のリスクを高める恐れや、
男性の精子濃度を低下させる可能性も指摘されています。
妊娠だけではなく健康そのものへの影響も及ぼすと考えられているため、
トランス脂肪酸はなるべく避けるようにしましょう。
ダイエットをしているからといって油を控えている方もいるかもしれません。
しかし人間の体には3大栄養素であるタンパク質・脂質・炭水化物が
絶対に必要です。
これらが揃って代謝がアップするので、
ダイエット目的で油を抜いていると代謝が下がって逆に太りやすくなります。
しかしせっかくの油もトランス脂肪酸や酸化したオイルのような悪いものでは
体に毒となります。
ポイントは良質な油を摂ること。
オリーブオイルの価格はピンからキリまであります。
安価なものは農薬を使って栽培されていたり、スピード重視の製造過程で
酸化しやすい手法で作られているものが多いです。
エクストラバージンオイルを選び、あまりにも安価なものは避けましょう。
高温には適していないので、サラダなどに生で使うのがおすすめです。
意外にも食用としても使えるのは椿油。
ヘアオイルとして日本で昔から愛されてきた椿油は、
成分の80%以上がオメガ9系のオレイン酸で、
LDL(悪玉)コレステロールを下げる効果が期待でき
食用としてもオススメです。
特に椿油で天ぷらをあげるとカラリと揚がって胃もたれしにくくなります。
どんな感じになるのか少し気になりますよね!
是非試してみてください。
バターやラードなどは、摂りすぎると悪玉コレステロールや中性脂肪を
増やす飽和脂肪酸ですが、飽和脂肪酸の中でも体に脂肪がつきにくい
種類もあります。
それが中鎖脂肪酸で、代表的な油がココナッツオイルです。
「中鎖脂肪酸」は体内で約4~5倍早く分解・燃焼されて即座に
エネルギーとして使われるため、脂肪として蓄積されにくいのです。
さらに中鎖脂肪酸は燃焼するときに、ケトン体をつくりますが
これは脳のエネルギーになる物質のためアルツハイマー病予防にも
その効果が期待されています。
ココナッツオイルは生でも加熱でも使えて、
お菓子やパン作りにもぴったりです。
体を冷やす効果があるので、暑い季節に使うのがおすすめです。
オリーブオイル同様、栽培環境の良くないものや酸化しやすい手法で
製造されている安価なものもありますので選ぶ際には調べてみてください。
