
糖質制限ダイエットは正しいのか? 健康的なダイエットを考える
「即効性がある」とブームが続く糖質制限ダイエット。
ですが、その安全性に問題が有ることが分かってきています。
糖質制限ダイエットの本質に迫ります。
体重と一緒に筋力も落ちる
書店には関連書籍がズラリと並び、メディアにも頻繁に取り上げられている「糖質制限ダイエット」。やり方はシンプルで、ご飯やパン、芋、果物などの炭水化物に含まれる糖質の摂取量を一日130g以下に抑えるというものです。
炭水化物を極力減らせば、おかずはなんでも、好きなだけ食べていいといいます。
もともとは糖尿病や重度の肥満患者に対する食事療法として考案されたものですが、いまや「手軽に痩せられるダイエット法」として、老若男女を問わず人気を集めています。
人気の秘密は、糖質さえ制限していれば、あとは肉でもアルコールでも摂取OKという取り組みやすさと、目に見えて現れる効果にあるようです。
炭水化物を制限するとどうなる?
炭水化物の糖分は体内で中性脂肪に変わり、人間のエネルギー源となります。
「糖質制限ダイエット」は炭水化物を絶つことで中性脂肪を減らして痩せる、いたって単純なメカニズムのダイエット法なんです。
中年期に体重が15kgも増えたTさんも、ご飯や麺類などの主食をいっさい抜き、肉をメインとするおかずで腹を満たす食事を続けました。その結果、1年半で9kgのダイエットに成功したのですが同時に大問題を抱え込んだのです。
Tさんによると、「初めは調子が良かったんです。1ヵ月でお腹回りがスッキリしてきて、体重が5kg減りました。効果がすぐに現れた事が嬉しくて、それから1年半、みっちり糖質制限をした結果、体重を85kgから76kgまで落とすことができました。
ところが、骨密度が65%と骨粗しょう症と診断され、骨折してしまったTさんは、3年前に人間ドックで測った骨密度から10%も落ちてしまっていました。ダイエットを経て、たった1年半で10%も落ちたことになります。
このまま長期入院すると寝たきりになるという主治医の判断で、Tさんは自宅療養に切り替えましたが、いまだに足腰の筋力が戻らず、歩くことができないままです。
今、このような糖質制限ダイエットによるトラブルが、あちこちで起き始めています。
専門家の間でも、糖質制限ダイエットは危険だと警鐘を鳴らす声は大きくなる一方です。
糖質制限は、なぜ危険なのか。
「人間には一日170gの糖が必要とされています。そのうちの120~130gは脳で消費され、30gは全身に酸素などを運ぶ赤血球のエネルギー源として消費されます。糖質は、生命を維持するために欠かせない栄養素なのです。
糖質を制限してしまうと、代わりにタンパク質を構成しているアミノ酸を、肝臓が糖に作り変えるというシステムが働き始めます。タンパク質を糖に変えられるなら、肉を食べれば問題ないのではないかと思う方もいるでしょう。しかし、人体の維持に必要なエネルギーをタンパク質や脂質でまかなおうと思ったら、毎日大量の肉を食べなければなりません。
数kgもの肉を毎日食べ続けることは現実的に不可能です。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、体は自分の筋肉を分解してアミノ酸に変えていきます。結果、筋肉量がどんどん減っていってしまうのです」
認痴症まで一直線
炭水化物に含まれる糖質は脳、神経組織、赤血球
腎臓尿細管、精巣や、骨格筋のエネルギー源です。
これらの組織は通常ブドウ糖の形でエネルギー源にしているために、
炭水化物は私達が健康的な生活を送るために必要不可欠の栄養素なんです。
糖質を全く取らないと、肝臓で糖新生という反応が起き、筋肉を材料として
糖を新しく作り直してしまいます。
その結果として筋肉が減ってしまうのです。
実は糖質制限ダイエットには、はっきりした科学的根拠やガイドラインがないのです。
だから、評判ばかりが独り歩きして、過剰なやり方が横行してきました。
若い人や糖尿病患者が、医師の指導のもとで一定期間やるのはいいでしょう。
しかし、65歳以上の高齢者は安易に手を出すべきではありません。
脳梗塞などを引き起こし、ひどい場合は寝たきりになる危険すらあるからです。
糖質制限ダイエットが引き起こす問題は、筋肉量の低下だけではありません。
実は骨にも甚大な影響を及ぼします。また次のようなことも言われています。
血液もドロドロになる
実は、寝たきりの原因1位の脳卒中も、糖質制限ダイエットと深い関わりがあるということが、最新の医療調査で明らかになりました。
Oさん(69歳・仮名)は、現在、半身不随で療養型病院に入院しています。
そこに至った原因が糖質制限によるものだったのではないかと語るのは、Oさんのかかりつけ医です。
「Oさんは中肉中背で、特に肥満が気になるわけではありませんでした。一日5kmのジョギングが日課で、運動も十分やっていた。そのままの生活を続けていても健康に問題はなかったでしょう。
ところが’08年、ブームに乗って糖質制限ダイエットを始めたのです。荻原さんは半年で6kgも痩せ、かなり細い体つきになっていました。本人もその変化に非常に満足そうでした」
だが、ダイエット開始から4年目の夏、荻原さんは突然病魔に倒れた。脳卒中だった。
「頸動脈の血管エコー検査をしたところ、ひどい高脂血症が判明。血管の壁が1・8㎜の厚さになっている部分もあった。重度の動脈硬化が引き起こした脳卒中だったのです」
荻原さんの身に、一体何が起こったのか。かかりつけ医が続ける。
「一般的に、糖質制限をするとカロリーを補うために脂質やタンパク質を大量に摂るようになります。すると、血管に悪玉コレステロールが溜まっていく。
血液がドロドロになり、その結果、血管が傷んだり老化が進んだりして、脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性がどんどん高まっていくんです。
特に肉類が大好物だった荻原さんにとって、炭水化物さえ抜けば、あとは何を飲み食いしてもいいという謳い文句は非常に魅力的だったのでしょう。トンカツや焼き肉、ステーキなど、がっつりした肉料理ばかり食べていたため、コレステロールが溜まりに溜まってしまったのです。
筋力低下、骨粗鬆症、動脈硬化が引き起こす脳卒中などなど、さまざまな病気との関係が指摘される糖質制限。
巨額の広告費用でダイエット効果をうたうスポーツジムなども中身は糖質制限ダイエットでした。
高齢者は安易に手を出さないようにしましょう。
見た目と健康、どっちが大切ですか?
ある経験者によると、糖質制限ダイエットはハマってしまうと危険だそうです。
「ご飯からお菓子まで、炭水化物は一切とらず、その代わり好きなものを好きなだけ食べているうちに、瞬く間に15kg痩せました。『効果が目に見えて出る。だから、嬉しくてどんどん続けてしまう』—実はこれが糖質制限の怖いところなのですが、当時は私も、これほど楽なダイエットはないと思っていました。
結局脳梗塞を発症してしまったそうです。
しっかりと炭水化物を取りましょう
このように行き過ぎた糖質制限は危険です。
日本には優秀な炭水化物であるお米があります。
これをしっかり取ることでかえってダイエット効果が期待できます。
しっかりと炭水化物を取り、健康的に痩せましょう。