
民俗食 おだしの文化を考える
日本の伝統食=民俗食の中で大切な役割をしているのが「だし」です。
「だし」は出汁のことで、発酵・熟成させた食材で出汁を取る文化は日本固有の文化です。
日本の水はミネラルをあまり含まない軟水で、出汁を取るのに適したお水に恵まれてきました。
軟水には素材の旨みが溶け込みやすく、繊細な味の文化を育んできました。
さらに、旨みだけでなく栄養素もしっかり溶かし込んだ出汁は日本食の基本となりました。
出汁になる素材で代表的なものは昆布と鰹節ですね。
この代表的な素材について考えてみました。
昆布と鰹節について
今更ながら昆布って何でしょうか?
身近な素材ですが、昆布の事ってご存知ですか?
昆布は海藻で、ミネラルが豊富です。
またフコイダンという食物繊維を含み「海の野菜」といわれています。
日本は海に囲まれた海洋国家なのでシーフードは伝統食の基本でした。
そんな中で身近な海藻である昆布とカツオが使われてきました。
昆布の白い粉は「マンニット」といって、旨み成分が結晶したものです
そのほか、カルシウム、鉄、ナトリウム、カリウム、ヨウ素(ヨード)などのミネラルは、体の組織を作ったり、調子を整えたりする大切な栄養素です。例えば、昆布に含まれるミネラルは牛乳の約23倍。カルシウムは約7倍、鉄分は約39倍も含まれています。
鰹節
鰹節は生のカツオを培乾することを繰り返して作ります。
培乾とは、いぶして乾かすことです。
骨抜きを終えた段階での節は、68%くらいの多量の水分を含んでいますが、これを蒸発させ、腐りにくくするために行われるもので、培乾の作業は何度も繰り返されます。
出来上がりの鰹節は結構白いですね。
あれはカビがつけられているからです。
この工程は、かつお節のうまみをつくり出すうえで次のような重要な働きが隠されています。
①カビが、かつお節の芯から余分な水分を吸い上げるため、全体が乾燥する。
②他の有害菌の発生が妨げられる。
③アオカビ(カツオブシカビ)の脂肪分解力によって表面に浸出した脂肪の魚臭を除去し、脂肪酸に変えることで、脂肪が水溶性になり、うま味が生じる。
④カビによるタンパク質の分解によって、アミノ酸その他の窒素酸化物によるうま味がでる。
⑤カビの脂肪分解力による中性脂肪の分解によって、遊離脂肪酸が増加することにより、煮出した“だし”のにごりがなくなる。
などの効果があります。
鰹節は削って使いますね。
醤油について
出汁といえば醤油も欠かせません。
これも発酵食品です。
大豆に麹菌を混ぜることにより発酵が進みます。
味噌や酒も同じ麹菌の働きですね。
出汁の中で混ざることで最高の状態になる
出汁は和食のベースとしていろんな素材を溶かし込みます。
昆布、鰹をベースに味噌や醤油といった発酵食品が腸内細菌を
活発にしてくれます。
良い出汁を探そう。
自分で出汁を位置から作るのは大変です。
このだし商品ですが、現在販売されているものは大きく3種類に分けられます。
「だし」の種類について
ひとつ目は「天然だし」で、これはかつお節や昆布などのだし原料だけが入っているものです。
ふたつ目は「添加物入りのだし」です。これはパック商品にも顆粒商品にもあるタイプで、だし原料のほかに食塩・砂糖・アミノ酸などを加えて、味を整えてあるものです。
添加物が含まれているのが問題です。
3つ目は「だし調味料」です。つまり、「だしを感じられる調味料」であり、原材料名の先頭がだし原料ではなく食塩など調味料の記載となります。原材料名は基本的に含有量の多いものから記載されています。
これらの3種類のだし商品はすべて同じ「だし」コーナーに混在しています。
勿論選ぶべきは「天然だし」となります。
その種類もかなり豊富で、どれを購入したらいいのか悩みどころです。
ここでは天然素材のみからとった「王様だし」をご紹介しておきます。